アスベスト(石綿)は、ヒトの髪の毛の直径(40μm~100μm※1)よりも非常に細く(クリソタイル(白石綿)の直径0.02-0.08μm、クロシドライト(青石綿)0.04-0.15μm、アモサイト(茶石綿)0.06-0.35μm)、肉眼では見ることができない極めて細い繊維からなっています。そのため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されてヒトの肺胞に沈着しやすい特徴があります。吸い込んだ石綿の一部は異物として痰の中に混ざり体外へ排出されます。しかし、石綿繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内に長く滞留することになります。この体内に滞留した石綿が要因となって、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがあります。
石綿繊維は細くて長いものほど有害性が高くなるといわれています。肺内に滞留した石綿繊維を白血球の一種であるマクロファージが排除しようとしますが、長い繊維は排除されにくく体内に長く滞留するためと考えられています。
また発がん性は、石綿の種類によって異なり、角閃石族のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)の方がクリソタイル(白石綿)よりも発がん性が高いとされています。
環境再生保全機構HPより抜粋
石綿(アスベスト)による健康障害の予防対策の一層の推進を図るため、平成17年(2005年)に石綿障害予防規則(石綿則)が制定され、これに基づく措置が事業者等に義務付けられています。
しかしながら、石綿則で義務付けられている作業開始前の石綿含有の有無の事前調査など、建築物等の解体・改修工事を行う際に必要な措置が実施されていない事例が散見されたことから、解体・改修工事における石綿ばく露による健康障害を防止するため、令和2年(2020年)7月に石綿則が改正され、10月以降、順次施行されます。